中退共と企業型DCは何が違う?制度を徹底比較、中小企業ならどっち?

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現在中小企業が導入できる退職金や企業年金制度にはいくつかの種類があります。

その中から会社にぴったりの制度を選択し、適切に運用することによって、従業員の福利厚生の充実や大きな節税メリットを得ることが出来ます。

しかし適切な制度を選択するためには、各制度の特徴やメリット・デメリットを把握することが大切です。

そこで今回は、毎月の掛金を積み立てるタイプの退職金制度である、企業型確定拠出年金(以下企業型DC)と中退共の違いを見ていきます。

そもそも「企業型DCとは?」については、上記の記事で詳しく説明しています。

中退共と企業型DCの違い

企業型DCと中退共の違いは、大きく分けて6つほど挙げられます。

企業型DC 中退共
①掛金 月額55,000円まで 月額30,000円まで
助成金制度 なし あり
③早期退職の返還義務 返還設定可能(3年以内の退職)  返還は不可
④企業ごとの制度設計 給与からの選択制、追加拠出制など 出来ない
⑤役員加入の是非 従業員、役員に可 不可(従業員のみ)
⑥退職金の金額 加入者が運用で増やせる あらかじめ決まっている

それぞれの項目について中小企業にとっては、どちらが優れているかを比較しながら見ていきましょう。

①掛金…DCの勝ち!

まず掛金額について比較した場合、ダントツで企業型DCの方が優れていると言えます。

どちらの制度も毎月の掛金額には上限がありますが、中退共は月額30,000円までなのに対し、企業型DCはその倍額近い、月額55,000円まで設定することが可能です。

掛金額の上限の規定
企業型確定拠出年金…月額55,000円まで
中退共……月額30,000円まで

特に役員の方の場合、最大年間あたり66万円という、とても大きな金額を全額非課税で個人資産に移せることは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

 

②助成金制度…中退共の勝ち!

中退共が優れてる唯一のメリットとして、掛金の一部を国が助成する制度の存在が挙げられます。

助成金は大きく分けると2種類あります。

  1. 新規加入掛金助成:中退共に新たに加入した際、掛金の半分を補助(1年)
  2. 月額変更(増額)助成:18,000円以下の掛金を増額する際、月額掛金の1/3を補助(1年)

    中退共では上記の制度を活用することで、1年という期間限定ではありますが、企業側の掛金負担を軽減することが出来ます。

    一方、企業型DCの場合は、掛金の助成制度そのものはありません。

    ③早期退職者の返還…DCの勝ち!

    本当に渡したい大切な社員の方にのみ渡せるしくみにアレンジできる点でも、企業型DCは優れています。

    例えば、中途採用などでせっかく採用した人材が入社してすぐに辞めてしまう、中小企業ではよく見られるケースです。

    しかし退職金制度は本来長い間会社に勤めてくれた従業員に渡したいものであり、「すぐに辞めてしまうような人にあげるのはちょっと…」と考える社長さんも結構多いです。

    そこで企業型DCでは、3年以内への早期退職者に対して、在職中に積み立てた掛金を返還してもらうことを、制度の規約で定めることができます。

    一方中退共では、早期退職者への返還義務を設定することはできません。

    ④企業ごとの制度設計…DCの勝ち!

    制度設計の自由度という点でも、やはり優れているのは企業型DCです。

    中退共はあくまで「企業から従業員への退職金」という設計しかできないため、一定額をかけ捨てていくことしかできません。

    一方、企業型DCは通常の会社からの掛金制度に加えて、選択制やマッチング拠出など、企業ごとにより高度な制度設計をすることで企業側も社会保険料の負担を軽減することが出来ます。

    企業型DCの様々なアレンジ
    • 選択制:加入者が給与の一部分を掛金にするか、給与にするか選択できる制度
    • マッチング拠出:事業主掛金とは別に、加入者が掛金を拠出することが出来る制度

      企業負担の社会保険料も軽減できる選択制については以下の記事で詳しく説明しています。

      上手に制度設計をして使いこなせば使いこなすほど、会社も従業員も満足するのが企業型DCのメリットなのです。

      ⑤役員加入の是非…DCの勝ち!

      多くの人が驚かれる1番のポイントとなっているのが、確定拠出年金では役員も従業員と同様に個人に対して掛金を出すことができる点です。

      条件は従業員と同様で、月額55000円まで、そして掛金は全額損金計上で給与所得の計算外となります。

      そのため、

      役員報酬とは別に、将来の資金を確実に確保しておきたい
      会社で挙げた利益を、出来るだけお得に個人資産に移転したい

      といったニーズにこたえられるのが企業型DCとなります。

      弊社が導入をお手伝いした企業様でも、企業型DCを「役員1名のみ」の企業で導入されるケースも非常に多く、皆さまがお得に将来に向けて積み立てを行っているのが現状です。

      ⑥退職金の金額…DCの勝ち!

      最後にそれぞれの制度を利用して受け取れる金額についてですが、こちらは制度によって性質が大きく異なってきます。

      まず中退共では、積み立てた掛金と年数によって受け取れる金額が予め決まっています

      一方企業型DCでは、会社が積み立てた掛金を、加入者が各自で運用を行っていきます。

      たとえ中退共と企業型DCで掛金の金額が同じ場合でも、企業型DCでは運用を行うことで、積み立てた額よりもかなり多くの退職金を受け取ることも可能です。

      ちなみに企業型DCでは、各自で行った運用に係わる税金も非課税となっているので、普通に投資信託を使って運用するよりもより効率よく、お得に資産運用が可能です。

      各制度を導入している事業所数

      現在各制度を導入している事業所数を比較してみると、中退共が企業型DCに10倍以上の差をつけています。

      企業型DCの様々なアレンジ

      企業型DC…約3万5000事業所
      中退共…約37万事業所

      前項で比較したように、多くの点において企業型DCの方が優れている制度であるにもかかわらず、どうして普及していないのでしょうか?

      この理由として、企業型DCのそのものの認知や制度への理解がまだまだ進んでいないことが挙げられます。

      企業型DCは「そもそも従業員1名の企業からでも導入できることを知らない」という経営者様が多いことや、加入や制度設計などのノウハウについて専門家であるはず士業の方ですら詳しくないことが要因として考えられるでしょう。

      そのため企業型DCを、社内に専門家がいないような中小企業で導入する場合、確定拠出年金に特化した専門家によるコンサルティングを利用することがオススメとも言えます。

      自社にあった制度の導入を

      以上が中退共と企業型DCの比較となります。

      どちらの制度も退職金という点では共通していますし、何よりこれからの時代の人材確保のためには、福利厚生としての退職金制度は中小企業と言えど必要不可欠となってくるでしょう。

      そうなったときに、自社で中退共を導入すべきか、企業型DCを導入すべきか、これは今後の企業の成長ビジョンや目的に合わせて選択すべきとなります。

      もし自分の会社に合った退職金のカタチがわからない、または制度導入・運営を丸投げしたいという方は、当社の無料コンサルティングで相談してみてはいかがでしょうか?

      当社では、金融機関や保険会社から独立した立場で、総合的な退職金コンサルティング・運用サポートサービスを実施しています。

      将来の会社のため、そして働く従業員のために、本当に役に立つ退職金制度を、現状からヒアリングし、提案致します。

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