企業型年金(正式名称:企業型確定拠出年金、以下DC)は、原則として60歳以下の人が加入対象となっています。

しかし、掛金を出すのは65歳までに規約で変更可能など、結局のところ経営者や従業員が加入できるかどうかあやふやになってしまうことが多いでしょう。

前提:加入可能年齢と拠出可能年齢は別

まず前提として、DCに新たに加入できる年齢拠出できる(掛金を会社が出す)年齢は別ということを押さえておきましょう。

会社がその加入者に拠出できる年齢は会社ごとに設定されます。この年齢を加入者資格喪失年齢と言ったりします。

現在の法令ですと、60歳から65歳までの間で設定でき、会社の定年の年齢に合わせて設定している企業が多いです。

一例として、加入者資格の喪失年齢が63歳に設定されている場合、加入者は63歳まで掛金を積み立てていくことができます。

ちなみに受け取りは63歳になった時点60歳以上で退職したタイミングとなります。

 

掛金を拠出、そして受取のタイミングは会社の企業型年金規約で決まることになります。

では一方で、新たに企業型年金に加入する場合、何歳までなら入ることができるのか?

これは会社ごとに決まるのではなく、確定拠出年金法および施行令と法律で定まっています。

DCに加入可能か早見表

新たに会社でDCが始まった場合、様々なケースがあり場合分けが必要なのですが、それを簡単にまとめたのが以下の図になります。

各ケースについて見ていきましょう。

チェック1:年齢が60歳未満か

年齢が60歳未満であれば、DCに加入することができます。

加入後は会社が定める資格喪失年齢まで、掛金を積み立てていくことができます。

ただし、60歳に近い年齢で加入した場合はすぐに受け取ることができないケースがあります。

では60歳以上の人は加入できないのか、というと必ずしもそうではありません。

次のチェック2以降に該当するかどうかで加入の可否が決まります。

チェック2:60歳以前から雇用され厚生年金被保険者であったか

DCが導入された後、60歳を超えてから会社に入社した人は、その会社の企業型年金に加入することはできません

なぜならDC自体が現役時代からの老後資金の積立を目的にしているためです。

では既に長年会社で働いているが、DC導入時に60歳以上となっている人は加入できるのか?

それは次のチェック3で決まります。

チェック3:既に会社に退職金制度等があり、その資産をDCに移管するか

元々会社に一切退職金制度がない場合、60歳以上で加入することはできません。

ここでいう退職金制度とは、勤続年数に応じた退職一時金や確定給付年金(DB)など、年齢に応じた後払い賃金として既に規定があるものに限ります。

さらに制度があるだけでは不十分で、その制度で積み立てていた資産をDCに移管し、以降はDCで各加入者が運用することになる場合のみ、60歳以降の加入が認められます。

各ケースで加入できるかの事例

少し複雑になってしまいましたので、具体的なケースで見ていきましょう。

ちなみに今回は会社の加入者資格喪失年齢(=掛金を出すことができる年齢)を65歳としています。

ケース1:62歳の時に新たにDCがはじまった

既に会社に退職金や企業年金と言った制度がある場合、そのお金をDCに移すのであれば加入可能です。

退職金制度がない事業所、もしくはあってもDCに資産を移さない場合、加入することはできません

ケース2;62歳でDCがある事務所に雇用された

雇用された段階で60歳以上の人は加入できません

ケース3:DCがある事業所で62歳で定年再雇用制度によって再雇用された

少しイレギュラーとなりますが、会社によっては一旦定年として、再雇用する制度が設定されている会社もあるでしょう。

退職日の翌日と同じ月に再雇用された場合は、継続して雇用されているとみなされるため、引き続き加入者となります。

なので再雇用の場合は加入資格に関して考える必要はありません。

まとめ:正しい知識で有効な制度活用を

これらの情報は確定給付年金法や施行令といった法令に記載がなされています。

しかし、ネットの情報では「60歳前から雇用されていれば加入可能」といった間違った情報も多いのが現状です。

正しい知識で、よりDCの制度が活用できるよう、経営者は常に正確な情報のアップデートが必要と言えるでしょう。

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